決算報(製薬)Photo:PIXTA

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大塚ホールディングスやエーザイなど「製薬」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

製薬5社中4社が増収
塩野義製薬が唯一減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界5社。対象期間は21年7~9月の四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・大塚ホールディングス
 増収率:4.6%(四半期の売上収益3886億円)
・エーザイ
 増収率:7.9%(四半期の売上収益1635億円)
・協和キリン
 増収率:16.8%(四半期の売上収益889億円)
・塩野義製薬
 増収率:マイナス1.2%(四半期の売上収益761億円)
・小野薬品工業
 増収率:14.8%(四半期の売上収益867億円)

 製薬5社中4社が前年同期比増収、塩野義製薬のみが減収となった。

 新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の開発で注目度の高い塩野義製薬だが、今回取り上げた製薬5社で唯一の減収に陥った。『中外製薬が売上収益を2割強の上方修正!期初に想定外だった「ある要因」とは』で取り上げた、中外製薬や武田薬品工業などの製薬4社を合わせた主要9社で見ても、唯一の減収だ。

 しかも、塩野義製薬は6四半期連続の減収に陥っている。これも製薬主要9社の中で唯一の状況だ。

 そうした事態の背景には、ある収益への「依存体質」があった。次ページ以降で詳しく解説する。