――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
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米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を0.75ポイント以上動かすのは、ここ数十年間でも珍しいことではない。だが今週まで、それほどの幅で動かすのは、常に下方向だった。実際、事前にあまり示唆することなく迅速に動くのは常に、金利引き上げの時よりも引き下げる時だというのがFRB の金融政策の特徴だった。
これは、アラン・グリーンスパン元FRB議長が「リスク管理」と呼んだ方針に根差したものだ。FRB は最大のリスクがどこにあるかを判断し、そのリスクを最小化するためには行き過ぎた動きのほうがまし、つまり統計学で言う「分布の裾」を切り落とすことが必要だという考えだ。