米国債の下げどこまで? 終わりの見えない売りPhoto:Drew Angerer/gettyimages

 米国債への売りが止まらない。10日発表の米消費者物価指数(CPI)統計の衝撃がなお続いており、市場の見通しが確実に悪化していることを如実に映し出している。

 5月のCPI統計では、物価圧力の高まりが広がっていることが判明。債券市場では動揺した投資家による売りが週明け13日も継続し、利回りはおよそ10年ぶりの水準に跳ね上がった。

 10日の統計発表を控え、市場では年初から上昇基調にあった国債利回りがついにピークに達したとの期待が広がっていた。金融環境の引き締まりにより、消費需要やインフレが持続可能な水準まで緩やかに戻っているとの見方が出ていたためだ。ところが、統計の発表を受けて状況が一変。市場関係者の多くは、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治に向けて政策金利をどこまで引き上げる必要があるのか、見当が付かなくなったと話している。

 ジェフリーズ傘下フィクスト・インカム・グループのシニアバイスプレジデント、トーマス・シモンズ氏は、債券市場の動きには「明らかに降伏の要素がある」と話す。「10日発表のデータは重大なメッセージだとの見方でおおむね一致している」

 14日の取引で、米10年債利回りは3.482%と、2011年4月以来の高水準で終えた。

 直近5営業日の上昇幅は0.513ポイントに達し、同期間としては2008年10月以来の大きさとなった。

 金融政策見通しに一段と敏感な米2年債利回りは2017年11月以来の高水準となる3.435%で終えた。9日時点では2.815%だった。