【寄稿】安全保障を脅かす半導体の国外依存Photo:Future Publishing/gettyimages

――筆者のグレアム・アリソン氏は、ハーバード大学の政治学教授で、著書に「Destined for War: Can America and China Escape Thucydides’s Trap?」がある。 エリック・シュミット氏は、2001~2011年にグーグルの最高経営責任者(CEO)、2011~2017年にグーグルとその親会社アルファベットの執行会長を務めており、共著に「“The Age of AI: And Our Human Future」がある。

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 半導体の受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏は4月に異例のインタビューに応じた。同氏は、米半導体企業が業界のリーダーになることを期待して500億ドル(約6兆7500億円)の助成金を提供するという米議会で現在審議中の取り組みは「非常に多額の費用がかかる無駄な行為」だと考えている。米企業がTSMCを追い抜く可能性は小さいという同氏の考えは正しいかもしれないが、問題はそこではない。重要なのは、先進的な半導体の製造を全面的に台湾に依存すれば、米国の国家安全保障が危険にさらされるということだ。