今後の日韓関係

 鳩山元首相は、岸田首相のことを「安倍元首相、菅前首相とは異なる進歩的なリーダーだ」と強調して、日韓関係の改善に対する期待感を示した。また、林外相についても「韓国に対して開放的な性向だ」と述べている。

 安倍元首相や菅前首相は、韓国の誤った主張をことごとく退けてきた人物だ。鳩山元首相がこれほどまでに岸田首相や林外相に期待感を示すのは、彼らが韓国の主張を受け入れるだろうと見込んでのことなのだろうか……。対立する自民党員であるにもかかわらず、ポジティブな印象を韓国民に与える鳩山元首相の言葉にどこか危険な香りがすると思うのは、筆者の屈折した見方だろうか。

 鳩山元首相は元首相の肩書を利用して、韓国に謝罪を重ねてきた人物だ。

 彼は今回のインタビューでもまた、韓国民に謝罪した。

 それは、駐日韓国大使の姜昌一(カン・チャンイル)氏についての謝罪で、「大使に日本政府が冷たく接したことについて申し訳ない」という内容だった。

 しかし彼が言うほど、日本政府は姜昌一氏に対して冷たく接しただろうか。確かに彼の着任後、当時の菅首相や茂木外相、現在の岸田首相との会談は行われておらず、6月16日に離任のあいさつのためにようやく林芳正外相との面会が実現しただけだ。しかし姜昌一大使といえば、国会議員時代に「天皇に慰問を」「北方領土はロシア領だ」などと発言した人物である(2020年12月1日に、彼は日本メディアに対してこれらの発言について釈明した)。このほかにも、「天皇のことは韓国では“日王”と呼ぼう」と発言したり、信任状奉呈式を足の痛みを理由にドタキャンしたりしたこともあった。彼に対して日本側が面談を拒否してきたのは、当然のことではないだろうか。

 近日中に、駐日韓国大使は姜昌一氏から尹徳敏(ユン・ドクミン)氏へと入れ替わることが内定している。これに関して、鳩山元首相は「尹徳敏氏が赴任し、大使と日本政府の関係が正常化すれば、日韓関係の発展に大きな役割を果たすだろうと期待する」と、インタビューの最後に述べた。

 果たして、鳩山元首相の思い描くような日韓関係は実現するだろうか。

 仮に岸田首相、林外相、鳩山元首相がそれを許したとしても、多くの日本国民が許さないと筆者は思う。