富裕層に話を聞くと、「預金額が急に増えたところ、銀行から突然電話がかかってきた」というケースが少なくない。低金利の今、銀行にとっては金融商品の販売が重要なビジネスであり、富裕層はそうした営業を受けることがよくあるのだ。ただ、「いつもお世話になっている銀行だから」と安易に信頼してしまうと痛い目を見ることも……。銀行から提案を受けたときに「絶対やってはいけない銀行取引」について解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
ある日突然銀行から電話が……
富裕層によくある“お誘い”とは?
低金利時代が長引く昨今、利ザヤでは稼げない銀行は猛烈な勢いで顧客に営業を仕掛けています。特に、お金持ちによくあるのが電話営業。電話営業と言うと、証券会社や先物取引をイメージする人が多いかもしれませんが、今は銀行からの電話営業が少なくないのです。
融資を受けている場合、銀行から保険や投資、クレジットカードなどの勧誘があるのはまあまあ当たり前ですが、「預金だけをしている人」にも電話での勧誘があります。よくあるのが、死亡保険金など多額の入金が口座にあった場合(もしくは多額の預金がある場合)。また、ドルが普通預金にある人にも電話がかかってきがちです。
携帯電話に見慣れない番号から電話がかかってきて「お客様、口座に多額のお金が預金されていますが、何か使途はございますか? もしよければ一度、弊行にご来店ください。資産運用のご提案がありますよ」とか「セミナーがありますよ」といった誘いを受けるのがよくあるケース。「いやー、平日は仕事でなかなか行けませんよ……」とやんわり断ったとしても、「土曜日もやっています!」といった言葉で来店を促されるわけです。
銀行から提案される話の全部が、「やってはいけない銀行取引」と言うわけではありません。しかし、銀行の営業マンにとっての最終的な目的が「金融商品を販売すること」ということは理解しておくべきです。決済や融資ではもうかりづらい低金利下では、金融商品の販売などで手数料を稼ぐことは銀行にとって重要なビジネスなのです。
現在は2021年よりも株価は下がっていますし、中長期的な円安局面に入っているので投資を始めるには良いタイミングです。しかし、銀行からの勧誘を受けて投資を始める上では、いくつか注意しておくべきことがあります。