センゲ氏が説く人類本来の「自然さ」への回帰
基調講演に続いた特別鼎談では、システム思考教育家の福谷彰鴻氏、チェンジ・エージェント代表で『学習する組織』共訳者の小田理一郎氏、『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版』共同発起人の井上英之氏が登壇、ともにセンゲ氏と交流のある3氏が「『学習する組織』を実践する」というテーマで意見を交わした。
福谷彰鴻⽒
まずは基調講演のインタビュアーを務めた福谷氏が、「テクノロジーの道筋を決定するのはテクノロジーそのものではなく私たちのビジョン」、そして「テクノロジーで何を可能にしたいのか、それを長期的に考えるためにもリレーショナル・フィールドをつくる必要があります」とセンゲ氏の発言を整理して口火を切った。
小田氏は基調講演をこう読み解く。「自殺率が倍近くに跳ね上がったというこの10年間は、テクノロジー進展の10年間でもあります。本来テクノロジーとは、ICTやタブレットのようなハイテクばかりではなく、ハサミやペンなどのローテクも含む言葉です。人類はそれらを上手に取り込みながら社会を発展させてきました。しかし、これまではテクノロジーを人間の身の丈に合わせていたのに、グローバル化が進むいまはそれができていない。特にインターネットでは、世界中がネットワークで結ばれていますが、多くのことが目の前で起きていません」として、元来人間が肌で感じてきたつながりとは異なることを再認識し、センゲ氏が「人類本来の『自然さ』への回帰」を説いたことを取り上げた。
小田理一郎⽒