リーダーにとってメンバー育成の手腕は不可欠だが、最近は働き方や個人の多様化、ハラスメント意識の高まりなどで、昭和のような育成スタイルは困難になってきた。その中で「会社に貢献したい」という社員のエンゲージメントをどう向上させればよいのか。※本稿は、宮下律江著『目標達成できる組織のつくり方』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。
成長を止める「リスキリング」は不要
ミスマッチで力を発揮できない不幸も
近年、人財育成の分野で「リスキリング」が注目を集めています。リスキリングとは、企業が技術革新やビジネスモデルの変化に対応すべく、社員に新しいスキルや知識を身につけさせ、新しい業務を担ってもらうことを指します。
産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む中、リスキリングは企業が存続していくために不可欠な取り組みといえるでしょう。
リスキリングは社員にとっても価値をもたらします。デジタル技術の進展に伴って必要になる専門的なスキルを習得し、新たなポジションに就く可能性が広がります。
ただし、誰も彼もリスキリングがハマるわけではありません。スキルや特性とのミスマッチによって力を発揮してもらえないことも起こり得ます。それは本人にとっても会社にとってもつらいことですよね。
リーダーはチームのメンバー一人ひとりの「成長を止めないこと」。これはマネジメントの大前提として、非常に大事なことです。
個々のスキルや特性は異なります。違いを認識して、得意なこと、やりがいを感じることに従事させるのがリーダーの務めです。そしてそれがチームや組織の力を伸ばし、目標達成につながるのです。
「マネジメント困難の時代」が到来
「やる気のない部下」の育て方とは
マネジメントの課題は時代とともに変わります。近年では大きく4つの課題が社員育成の難易度を確実に上げています。