コンサル大解剖Photo:NurPhoto/gettyimages

富士通がぶち上げた、2025年度までにグループのコンサルティング人材を従来の2000人から5倍に爆増させる「コンサル1万人計画」。その肝となる存在が、20年に新設した傘下ファームのRidgelinez(リッジラインズ)である。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、独自の取材から判明したリッジラインズの従業員の給与や、富士通本体との「親子格差」の実態を明らかに。すると、リッジラインズ内で「あるポジション」以上の立場にならなければ、富士通本体の社員より、給与が低くなる可能性があるという驚きの実態が判明した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

富士通「コンサル1万人計画」の肝
リッジラインズ社員の給与の実態とは?

 コンサルティング人材を5倍の1万人に拡充へ――。富士通が2023年5月、新中期経営計画でこんな大胆な計画をぶち上げた。

 今年2月には、コンサル事業の新ブランド「ユーバンス ウェイファインダーズ」開始を発表。「ビジネス」と「テクノロジー」の2分野で注力する計13のコンサル事業領域を策定し、社内のリスキリング人材や新規の採用、M&A(企業の合併・買収)によって、コンサル人材を大幅に拡充する方針を示したのだ。

 こうした新計画を進める上で肝となる存在と言えるのが、20年に新設した子会社、Ridgelinez(リッジラインズ)である。DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルを手掛ける傘下ファームとして、富士通の時田隆仁社長の肝いりで設立を推し進めてきた。

 設立時は約250人体制で、富士通本体や、富士通総研(FRI)といったグループ内の社員が大半を占めていた。中途採用などを徐々に拡大し、直近では500人程度まで増加。今も売り上げの一定割合を親会社に依存するが、新規顧客開拓に注力しながら、富士通のリスキリング研修なども担っている。コンサルの定義があいまいな面もあるが、同社の「コンサル1万人計画」の実現に向け、人材開発面でも大きな役割を担う存在と言えよう。

 連載内記事『30代で年収2000万円も!現役コンサル&経験者が明かす「給料の実額」「転職して待遇は?」』などでも明らかなように、近年のコンサル業界は業界の好調さと相まって「給与引き上げ合戦」の様相を呈し、それとともに人材獲得競争の激しさが叫ばれてきた。

 優秀なコンサル人材を獲得するには、高給でインセンティブを高めることが不可欠。それだけにリッジラインズの給与体系は、富士通から独立性を保つ形で、独自の体系が設定されてきたのだ。

 本稿では、独自取材でリッジラインズ社員の具体的な給与や、親会社である富士通との「親子格差」の実態を探った。すると、リッジラインズ内で「あるポジション」以上の立場にならなければ、富士通本体の社員より、給与が低くなる可能性があるという驚きの実情が判明した。

 併せて、富士通本体の人材を巡る、「リスキリング」の内実にも言及。看板の“くら替え”にも近い独特の手法や、リッジラインズと親会社との微妙な関係性なども解説する。