ロシア産石油価格に上限設定の実効性Photo:picture alliance/gettyimages

 米国と欧州は、自国経済をリセッション(景気後退)に陥らせることなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の戦争機構への資金供給を断つ方法を模索してきた。今週の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で提示された最新のアイデアは、石油取引価格に上限を設定するというものだ。これは、ほとんどの価格抑制策と同じ効果を発揮するだろう。つまり、恐らくうまくいかないということだ。

 西側諸国の努力にもかかわらず、ロシア政府が石油輸出から得る収入はウクライナ侵攻以来増加している。米国はロシア産原油の輸入を禁止しており、欧州連合(EU)は最近、ハンガリー、スロバキア、チェコへのパイプライン輸送を除き、年内に輸入を段階的に停止することで合意した。

 一方、中国とインドは、ロシア産原油を1バレル当たり30~40ドル割り引いた価格で購入できることに満足している。12月に発効する欧州の制裁では、船舶保険も禁止されることになり、影響はさらに大きくなる可能性がある。しかし、こうした制裁が効果を発揮する前に、G7首脳はそれを損なおうとしている。