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「がんばっても報われない」「責任ばかり増えて苦しい」そんな思いを抱く人は少なくない。心理学者・根本橘夫氏は、出世や地位を追い求めるほど人は不幸になることがあると指摘する。そこで提案するのが、“創造的無能”という働き方。自分に合った場所で力を発揮しながら、心穏やかに働くためのヒントを探る。※本稿は、心理学者の根本橘夫『新版「自分には価値がない」の心理学』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。
自分を自分に合った位置に置く
「創造的無能」という姿勢
皮肉屋の研究者ピーターが提唱した法則がある。それは、地位が上昇するほど人は無能になる、というものである。たとえば、ある人が、工員として優れた技能を持っているとすると、彼はやがて職長になる。がんばって職長として認められれば、副工場長へ、さらには工場長へと昇進するかもしれない。しかし、工員としての技能が優れていることは、職長として部下を管理したり、工場長として工場全体を管理する能力とは無関係である。
このために、彼は地位が上がるほどそれに対する適性が欠如することになり、仕事が苦痛でストレスに満ちたものとなる。
では、どうすればよいか。ピーターは創造的無能という姿勢を推奨している。それは、有能さを示さず、自分に適度な場所で、楽しんで仕事をすることに徹するというものである。
自分を自分に合った位置に置く。適所に位置することで、余裕を持って仕事ができるし、持てる能力を存分に発揮できる。補佐役が合っていると思う人は、それに徹することである。古代中国蜀の孔明は軍師としての地位にいて、自ら主君になろうとはしなかった。







