米国の大企業の多くにとって、今年の夏は賃上げの季節となりそうだ。インフレが高進する中、人手不足が続く労働市場で人材を確保するため、一部の大企業は給与の引き上げや特別ボーナスの支給に踏み切っている。米石油大手エクソンモービルは6月、給与の3%に相当する一時金を米国の社員に支給した。国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、6月30日に終了したばかりの前年度の業績を反映させるため、7月に給与を引き上げると発表した。ソフトウエアの米マイクロソフトは今春、成果に基づく賃上げの予算を世界的にほぼ倍増させる計画だと社員に伝えた。米企業は賃上げやボーナスを数カ月前から計画することが多いため、こうした動きは異例と言える。ここにきて企業幹部の間からは景気減速を懸念する声が聞かれている。暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース・グローバルやネットフリックスなどは人員削減に踏み切っている。それでも多くの企業幹部は、ビジネスが好調に推移する中、社員の実績に対する報酬として、また、ライバル企業の給与に遅れを取らないよう、給与の引き上げが必要だと話す。ガソリン・食料品など日々の支出が増えている社員を支援する必要もあるという。