安倍元首相の死を喜ぶ人々

 安倍元首相の冥福を祈る韓国人も、もちろん多くいる。だが、同じくらい彼の死を喜ぶ国民がいるのが現実だ。

 先ほどのコメントでは敢えて紹介しなかったが、筆者がなによりも驚いたのは「文在寅前大統領はいつ殺されるんだ?」「次は文在寅の番だ」と、自国の前大統領を殺してくれと言う声があまりにも多かったことだ。このような発言は、冗談であってもすべきではない。

 民主主義国家は暴力で言論を抑圧してはならない。テロによって政治家が殺されてはいけないのだ。それを「山上容疑者は第2の安重根だ」とテロリストを英雄扱いして称えるなどもってのほかだ。

韓国の反応を、日本人は忘れてはならない

 先ほども述べた通り、日本人は今回の韓国の反応を記憶しておかなければならない。多くの韓国人には、日本や日本人のことを心から心配し、労わる気持ちなどない。我々は東日本大震災の時にも同じような経験をしたはずだ。韓国が日韓関係改善を望むのは、韓国にとってそれが自国の利益になるからだ。日本が困った時、彼らは心の底から心配して手を差し伸べることなどしない。

 安倍元首相は今後の隣国との付き合い方を再考するよう、自身の死を通して我々に教えてくれたような気がする。安倍元首相のようにリーダーシップがあって、世界と対等に会話ができる政治家を日本が失ってしまったことが残念だ。彼にはもう少し日本を牽引していただきたかった。

 少々余談だが、山上徹也容疑者は元海上自衛隊員の41歳の男だと各メディアが報道した。だが、彼は2002年から2005年までの3年間しか海上自衛隊に勤めていないし、辞めたのも17年も前の話だ。元自衛隊員だと強調して報道するのは、間接的に自衛隊に批判が向くことにならないだろうか。

 もう一つ問題なのは、素人が武器製造サイトを見て殺傷能力のある銃を簡単に製造できる世の中になってしまったということだ。工業高校レベルの知識や技術があれば、3Dプリンターで銃を簡単に作れるという声もある。今回の“成功”を機に、世界で模倣犯が出なければいいのだが……。

 最後になったが、ここで安倍元首相のご冥福をお祈り申し上げる。これまで日本を代表する政治家として多忙を極めていたのだから、天国ではどうか安らかにお過ごしになれますように。