ダイヤモンド決算報#損害保険Photo:PIXTA

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの「損害保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

MS&ADがずば抜けて
高い増収率となった要因とは

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の損害保険業界の3社。対象期間は22年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・東京海上ホールディングス
 増収率:9.3%(四半期の経常収益1兆4916億円)
・SOMPOホールディングス
 増収率:7.9%(四半期の経常収益1兆103億円)
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
 増収率:51.3%(四半期の経常収益1兆3939億円)

※SOMPOホールディングスは、収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 損害保険業界の主要3社はいずれも前年同期比で増収だった。特に、MS&ADインシュアランスグループホールディングスは5割超の大幅増収となっている。

 同社が、ずば抜けて高い増収率を記録した要因とは何だったのか。その背景にはある「特殊事情」が関係していた。

 次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの増収率を押し上げた特殊事情について詳しく解説する。