国際関係は現在、旧約聖書の「ダビデとゴリアテ」の逸話のように小さな者が大きな者に立ち向かう物語に溢(あふ)れている。その最たる例が、ウクライナとロシアだ。しかし、最も興味深い物語の一つは、米国ではあまり知られていないが、世界経済に対する教訓をはらんでいる。欧州連合(EU)加盟国で旧ソ連の衛星国であるバルト海沿岸の小国リトアニアは2021年半ば、台湾が「台湾」の名で現地に代表事務所を開設することを認め、中国をいら立たせた。台湾と友好関係にあるが正式な関係をもたない国のほとんどは長年、中国を刺激しないよう代わりに「台北」を使用している。中国は、台湾を自国の一部だと主張している。そのため中国は2021年後半、リトアニア製品の輸出入を制限。最終的に、リトアニアを経由するサプライチェーン(供給網)も標的にした。