低コストで付加価値の高いLED看板(樹脂発光文字)で市場拡大

店舗や建物の「顔」として、集客効果やイメージを大きく左右する看板。その中でも訴求力の高いLED看板(樹脂発光文字)を手がけ、支持を集めるのが大分市のイーストだ。(取材・文/大沢玲子)

 2020年、自社ブランド「Spinedge」として確立。従来の金属文字では表現できない微細なデザインに加え、正面だけでなく側面・背面発光など効果的に文字を光らせる技術力は業界でも屈指のもの。同業他社からの樹脂文字の発注も急増している注目企業だ。

 同社は1996年、代表取締役の東政信氏が25歳で創業。前職でも看板製作に従事した経験を生かし、「主に中型、大型看板を手がけ、大手看板会社からの依頼を含め地元のお客さまをメインに事業を展開してきました」と言う。

 だが、景況感や情勢の変化により屋外の大型看板の需要が減少。元請け業者からの依頼、紹介の仕事にも限界を感じる中、長期的視点で付加価値の高い製品作りを模索。その突破口となったのが、10年前頃に福岡の商業施設の看板で目にした樹脂発光文字だった。

県外の展示会出展を機に
同業者からの注文が急増

「最初に目にしてから将来性を感じ、必ずや自社で手がけたいと情報収集をスタートしたものの、7年間ほどは試行錯誤の連続でした」(東氏)

 製作に必要となる、プログラミングによって高速回転する刃物で材料を削る工作機械「NCルーター」に出合ったものの思うような製品ができない。

 それでも諦めることなく、技術の習得・向上、より安価な材料の仕入れに奔走し、新規顧客開拓のために展示会への出展を決意。質の高いサンプル品の製作には、より高性能のNCルーターが必要と判明すると、大分信用金庫らのサポートで各種補助金を獲得する。

「ギリギリで補助金の審査に間に合い、機械導入が18年末、展示会は翌年3月と短い製作期間ながら、社員たちと力を合わせ、納得のいく製品を作り上げることができました」(東氏)