その後も福岡や東京での大型展示会に積極的に参加し、オリジナルブランドのスピンエッジの魅力を広くアピール。「特に同業他社から高い評価を得ることで、全国から樹脂文字製作の注文が舞い込むに至りました」。現在、LED看板が占める売り上げ割合は3~4割となり、収益性の高い事業として順調に成長している。
難関を乗り越え、ブランドを確立した背景には大きく三つのポイントがある。
一つが質の担保を最優先に工程や設備へ投資していること。例えば、看板の仕上げを左右する塗装一つ取っても、自動車に使用する吹き付け塗装用の塗料を使用。「専用の塗装ブース施設を設置し、背面や側面などの効果的な発光のため、丁寧に吹き付けで塗装をしています」と東氏。
若手社員の技術力で
新分野にもチャレンジ
●有限会社イースト 事業内容/屋外広告業、従業員数/10人、売上高/1億1017万円(2021年度)、所在地/大分県大分市青崎1-10-26、電話/097-524-1055、URL/sign-east.com
二つ目が材料仕入れの経営努力だ。LED看板は広告効果が高い一方、材料のアクリルやABS樹脂などが高価で、製品価格も高くなってしまうのがネックだった。そこで同社では、中国の現地業者からの仕入れルートを開拓し、一部に安価な人工大理石を使うなどして仕入れ価格を低減。「国内の同種商品と比べ、3分の1以下の価格を実現しています」(東氏)。
三つ目が若手社員を中心に高い技術力を擁していること。難関とされる大本の設計図を作るためのCAD/CAMも社員が講習を通じて完全習得。「こまやかな技術が必要な配線のはんだ付けなども、熟練した社員の働きで万全の仕上がりを実現しています」と東氏は胸を張る。
展示会への出展を契機に県外への営業活動も精力的に実施。LED以外の看板の一貫施工はもちろん、店舗内デザイン用のバックパネルの製作など、新たな分野にも取り組んでいるという。今後の新規事業展開にも期待したい。
(「しんきん経営情報」2022年8月号掲載、協力/大分信用金庫)