小学校の「あだ名禁止令」どう思う?いじめの原因か、仲良しの印か写真はイメージです Photo:PIXTA

最近、あだ名で呼ぶことや、名前に必ず「さん」を付けて呼ぶことを推奨する小学校が増えてきているという。これについて、いじめ防止の観点から肯定する人、そこまでは行き過ぎだと感じる人、両方いるのではないだろうか。(フリーライター 武藤弘樹)

あだ名禁止とその是非
「さん付け」の校則も

 筆者は若かりし頃、しゃれたレストランの厨房でバイトを始めた。
 
 厨房にはスタッフが何人かいたが、筆者より数歳上の、いかにも陽キャ(明るくアクティブな印象の人)風の男性の先輩が、筆者にあだ名をつけると言い出した。その先輩はデリカシーが著しく欠けていることはわかっていて、逐一こちらをばかにしたような言動を示していたのも気になったが、筆者は「これから仕事を一から覚えさせていただきます!」という心持ちだったので、受け止めるつもりでもあった。
 
 そして、筆者につけられたあだ名は「2号」であった。以前「武藤」というスタッフが勤めていたらしく、筆者が「2人目の武藤だから」だそうである。先輩はその名付けが大層気に入ったようで早速「2号、2号」と呼び始め、周りもそれをとがめる様子はまったくなかった。後にも先にも、勤務初日を終えた時点で辞めたバイトはこの一つきりである。
 
 最近、「“あだ名呼び禁止”とする小学校が増えてきている」という風潮に注目が集まっている。また、 「さん」付け推奨などもあり、運動会の応援などにおいても「○○さん頑張れ!」といった具合に行われるという。あだ名禁止や「さん」付け推奨を校則に明記する学校もあるそうだ。
 
 はたして、そうした試みを行っている学校が現時点で、全体の何割程度あるのか、データをあさってみたが見当たらなかったので、実際のところはわからない。だが、一つのムーブメントとして大なり小なりその波がどこかで起こっていて、それが注目を集めている…というのは事実である。
 
 あだ名禁止の是非については各所で議論が交わされているので、本稿ではそれについてざっと触れる程度にとどめつつ、“あだ名禁止”はどこに向かうのか、ということを考えてみたい。