福沢諭吉像 Photo:PIXTA
仕事を終えてからの一杯を楽しみにしている人も多いだろう。しかし、近世では昼も夜も問わないどころか勤務中にも飲酒することが常態化していたのだという。いつから日本人は勤務後の夜の時間帯だけに酒を飲むようになったのか、社会学者が解説する。※本稿は、社会学者の右田裕規『「酔っぱらい」たちの日本近代 酒とアルコールの社会史』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
都内で泥酔者・酩酊者が
最も多い時刻は午前0~4時
20世紀の勤労者が酒を楽しんでいたのは一般に、仕事から離れた場所と時間においてであった。かれらは多くの場合、職場の外の空間で、「余暇」と呼ばれる時間に限って酒を飲んでいた。勤務終了をまって、自宅に帰ってから晩酌する、あるいは寄り道して、繁華街の酒場で飲む、というようなスタイルである。
21世紀の日本の場合、圧倒的に頻度が高いのは、前者の晩酌スタイルだが、仕事帰りに酒場で飲む人びともいまだ少なくない。2010年、全国の既婚男性1796人を対象とした内閣府の余暇調査では、回答者の21%(378人)は、平日の勤務時間後、まっすぐ家に帰らず「寄り道」する場合、「仕事に関連しない飲食・飲酒をする」と答えていた(『「ワーク」と「ライフ」の相互作用に関する調査報告書』)。
酔っぱらいが、夜の世界に属しているのも、勤務後のこの習慣に多くを負っている。2023年度、東京都内で保護された泥酔者・酩酊者1万3317人の「保護の開始時刻」の内訳を見ると、最も多いのは午前「0~4」時で4966人、次が「20~0」時で3552人だった(『警視庁の統計』2023年度)。







