ペヤング好きの社員の声を
ヒントに調理器具を開発

「日常に、非日常を」をミッションに掲げたライソンは、設立から約1年で想定外の大ヒット製品「焼きペヤングメーカー」を生み出す。その名の通り、お湯を注いでつくる「ペヤングカップ焼きそば」を、焼いてつくるためだけの調理器具だ。山社長自らのアイデアがもとになり開発された。

カップ焼きそばを焼くためだけに誕生したアイテム「焼きペヤングメーカー」カップ焼きそばを焼くためだけに誕生したアイテム「焼きペヤングメーカー」(画像提供:ライソン)

「私はペヤングに特別な思い入れはありませんでしたが、ペヤングファンの社員がペヤングの魅力を熱弁していたことを思い出したんです。ペヤングファンはペヤングって書いているものなら何でも買ってくれるんじゃないかなと(笑)」

 焼きペヤングメーカーは、発売と同時にSNSでバズり、50社を超えるメディアから取材が殺到した。

「焼きペヤングメーカーは一点突破家電の成功事例だったと思います。日常の家電を追い求めるとライバルも多く、結局は値段や機能の勝負になってしまう。我々規模の会社が家電の世界で勝つには、とにかく比較されないことが大事なんです」

 また、今でこそ一般的なクラウドファンディングにも先駆けて挑戦。2018年12月から約1カ月にわたり、焼きペヤングメーカーへの賛同を募集。目標金額50万円に対し、約10倍の517万8680円を集めて話題となった。クラウドファンディングの活用にも、山社長の戦略があった。

「製品をつくっても、小売店さんが取り扱ってくれないと商品として流通できません。クラウドファンディングをやることでお客様のニーズが分かれば、小売店さんが仕入れる際の判断材料になると考えました。製品化のための資金調達手段というよりは、製品の認知度を広げるために実施しました」