2020年3月にサントリーから発売されたジャパニーズジン「翠」。2021年の販売数量は対前年比236%を記録し、さらに今年3月には「翠ジンソーダ缶」が全国発売となった。もともとジン文化が薄い日本において、翠がこれほどの快進撃を続けているのはなぜか。その理由に迫った。(清談社 田中 慧)
日本食に合うジンの
商品化に乗り出した理由
ハイボールやレモンサワーと比べ、日本人になじみのなかったジン。BARでツウな人がしっぽりと飲むお酒……なんてイメージも強いのではないだろうか。だが、2020年3月にサントリースピリッツから発売された「翠(SUI)」が今、そのイメージをガラリと変える快進撃を見せている。
「21年の販売数量が対前年比236%を更新しました。さらに24年には、21年の約3.3倍となる100億円の売り上げを目指す計画です。もともと日本ではジンは大きな市場ではなく、食中酒というより“食後の一杯”の印象が強くありました。しかし、世界的に見るとジン市場はクラフトジンを筆頭に成長していたため、日本人に親しみやすいジンをつくれないかと考えたのが翠の始まりです」
こう話すのは、サントリーで翠のブランドマネージャーを務める白村雄太氏だ。
世界的にジンブームが到来していた2017年、サントリーはクラフトジン「ROKU」を発売している。これは、玉露やさんしょうを使った「季の美 京都ドライジン」(京都蒸溜所・2016年発売)といった、ジャパニーズクラフトジンへの世界の注目度が上がっていたタイミングと重なる。