6分の1が外国人社員、京都からハワイ進出
異色の農業ベンチャーとは

 ハワイ島南部にある「カウ」という地域をご存じだろうか。他地域とは異なってリゾートではなく、かつてはサトウキビ栽培が盛んだったが、今は廃れて耕作放棄地が広がっている。この貧しい地域を活性化するために、日本の農業ベンチャーが奔走している。

就職先を半年で辞め、農業ベンチャーで年商16億!異色社長が世界を目指すワケマイファームの西辻一真社長。新卒入社先を半年で飛び出し、同社を創業した

 その企業とは、京都市に本社を置くマイファームだ。国内外を問わず、農家の育成や耕作放棄地の利活用に取り組んでいる企業で、「カウで農業起業家を育て、6次産業を興して豊かな地にしたいのです」と、創業社長の西辻一真(39歳)は言う。

 6次産業とは、農林漁業に関わる1次産業者が、食品加工などの2次産業や、流通・販売といった3次産業にも取り組み、地元経済を豊かにすることを指す。1×2×3で6次産業というわけだ。

 その一環で、同社はカウの高校で2021年8月から「起業家育成コース」を開講している。高校生を対象に、農業を中心にさまざまな教科を教える施策で、プログラムは4年間(ハワイの高校は4年制)。卒業生の進路は、大学進学や現地での起業を想定している。

 ハワイプロジェクトを担当し、カウに駐在している平田尚晃は「この活動をハワイ全体にまで広げていきたいです」と抱負を語る。将来的にはマイファームが現地で生産法人を立ち上げ、卒業生を雇用し、農家として育てる計画もある。

 精力的に海外展開を進めるマイファームは、中国、台湾、ベトナム、インドネシア、スリランカ人などが働く“多国籍軍”でもある。

就職先を半年で辞め、農業ベンチャーで年商16億!異色社長が世界を目指すワケハワイ島・カウ高校の生徒たち

 彼らをまとめる社長の西辻は、新卒入社した企業をたった半年で退職し、同社を立ち上げた変わり種だ。異色の農業ベンチャーといえる同社の海外進出は、18年に中国・上海に現地法人を設立したことから始まった。