「学芸大附属国際」のIB教育が育む“10の学習者像”徹底した少人数教育で、グループディスカッションなど生徒同士の学び合いが中心となるため、机の位置などは臨機応変に変更される

 これからの教育の姿を予見させる教室の様子

――校内に入ってまず感じたのは、とてもにぎやかだなということでした。

坂井 おとなしい授業は全くありません。静かに座学をするということは、この学校では考えられません。コロナでの制限も緩和され、いまはだいぶ元通りになって、活発に議論しています。英語の授業も、教科書を読むと言うより会話が中心です。1年生でABCから学ぶような生徒でも、3カ月もすれば自己紹介をして、自分の好きな音楽を語るなど、アウトプットを大切にしています。

――IBというのはにぎやかなものだと、訪れた人は思うかもしれません。

坂井 ペーパーテストのウエートが全てではなく、生徒がディスカッションをしたり、先生と対話したり、レポートやエッセイを書いたりして、その都度パフォーマンスが評価されます。自分自身で表現することが非常に大事という学校です。生徒は発表することに次第に慣れていき、恥ずかしがらずにできるようになっていきます。

――帰国子女教育から始まっていることもあるのか、多様性ということは担保されてきたように思えますが。

坂井 自然に、普通にしています。1年生の富士ワークキャンプに同行しましたが、日本語だけでなく、英語は当たり前で、中国語や韓国語も飛び交っていました。生徒全体の4割くらいは帰国生ですから、日本語よりも外国語の方が得意な生徒はその言葉で話していますね。

――国際性に関してはいかがですか。 

坂井 国籍など制限は何もありません。国際性を育てるとよく言いますが、この学校は存在そのものが、クラスの中にいるだけで国際性が培われていくのだと思います。

――こちらの学校には昔から制服がなかったように思いますが。    

坂井 前身となる大泉中学校はトラディショナルなブレザーとセーラー服などでしたが、高校大泉校舎の方は帰国子女のみの学校でしたので、全員私服で通っていました。

 国際中等はスクールユニフォームとして、生徒会の行事や始業式などがある時には、紺色系の任意のブレザーに指定のネクタイとエンブレムを着けるようになりました。あとは、落ち着いた感じのスカートやズボンにすればいいという感じですね。

――他に学校の特徴ということで強調しておきたいことはありますか。

坂井 すごく自由な学校です。生徒に渡すハンドブックの最初のページには、先ほど触れた「学問的誠実性」が示されています。あとはマナーとルール、そして思いやりについて、それぞれの場面で生徒がどうしたらよいかを考えていく。 

――ICU(国際基督教大学)の付属高校などと似ていますね。インターナショナルスクールのような雰囲気で。

坂井 精神としてはよく似ていると思います。まさにインターナショナルな学校です。

「学芸大附属国際」のIB教育が育む“10の学習者像”大泉中学校と高校をつなぐ形で設けられたC棟が、東京学芸大学附属国際(ISS)のいまの入り口となる建物に

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