フェラーリは75年間、北イタリア・マラネッロの同じ工場で高級スポーツカーを作り続けてきた。伝統、スタイル、品質、ラグジュアリーの規範たるフェラーリは今、電気自動車(EV)への完全シフトという、おそらく過去最大の課題に直面している。この変革は自動車産業全体にとっての試練だが、伝統にこだわり、パワフルかつ轟音とどろくエンジンで名をなしたフェラーリにとっては、存亡にもかかわる問題だ。こうした一連の課題に対処すべく、フェラーリは自動車業界の外部にいた人物に目をつけた。昨年9月に最高経営責任者(CEO)に就任したベネデット・ビーニャ氏は、半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスで四半世紀以上の経験を持つ。半導体は現代の自動車にとって、ブレーキから自律走行機能まであらゆる面において重要性が高まっている。