多くの国が化石燃料への依存を軽減すると誓ったものの、ウクライナでの戦争によって一時的に依存を高めている。ここにきてエネルギー危機の深刻化、世界各地を見舞う熱波、物価高騰、供給制約、景気後退への警戒感が、二酸化炭素(CO2)排出量の少ないエネルギー源に切り替えるという長期的約束の実行を遅延させようとしている。投資家やエコノミストの見方では、そうしたリスクは特に欧州で顕著だ。当地は今冬、深刻な燃料不足に陥る見通しで、首脳陣の注目は目先の問題に集まっている。欧州の天然ガス卸売価格は、ロシアが主要パイプラインを通じた欧州への輸出量を減らしたことを受けて先週跳ね上がった。卸売価格は今年に入り2倍余りに上昇し、家計や企業の懐を圧迫。世界的な景気後退が迫っているとの警戒感を増幅させている。