コソボとセルビアの間で先週末に対立が再燃したことを受け、北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)は急いで緊張緩和に乗り出した。一部の政治家や専門家は、欧州の一層の不安定化を狙うロシアがコソボとセルビアの対立を利用する可能性があると懸念している。平和維持のためコソボに駐留しているNATO軍は7月31日、コソボとセルビアの国境貿易をめぐる手続き上のもめ事が言い争いのレベルを超えて激化するのを防ぐため、介入する可能性があると警告した。コソボ当局によると、セルビアとの国境付近に暮らすセルビア系住民とコソボ警察の間でにらみ合いが続いていた中で、31日に複数の銃声が響いた。けが人は出なかったという。かつてセルビアの一部だったコソボは、流血の惨事となった短期間の紛争が終結した後、2008年に独立を宣言した。この紛争では、セルビア軍をコソボから撤退させるため、NATO軍がセルビアを空爆した。コソボとセルビアの根深い対立は今も続いている。特にセルビア系住民が多数派のコソボ北部での対立は深刻で、そこでは首都プリシュティナにあるコソボ政府の支配がほぼ及んでいない。