安倍元首相の銃撃事件で注目が集まった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。救済活動を担ってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会には、1990年代に母親を脱会させたことをきっかけに会社員から転身した男性弁護士がいる。
オウム真理教といった大規模なカルト集団が目立たなくなる一方で、現在は、街中で誘う霊能者や、自己啓発サークルなど「ミニカルト」をめぐる紛争が登場しているという。
男性は「カルトは日本社会と親和性がある。メスを入れるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
水子供養や自己啓発などでトラブルに
男性は現在、旧統一教会に返金を求める訴訟のほか、アレフ(オウム真理教の後継団体)が進出している自治体の顧問をしている。
恐怖心をあおりコントロールすることで人を支配し、経済的な収奪や人権を侵害するなどの「カルト」について、かつて話題になったオウムのような大規模な団体のみならず、最近では、水子供養をうたいながら寄付を募る神社や、街中で霊能者をかたったり自己啓発に誘ったりするサークルなど「ミニカルト」をめぐる紛争が出てきていると指摘する。
「真面目な人たちが多く組織立った日本社会は、カルトと親和性があります。オウム以降はあまり話題にならなかったので、まだやってたの?という人もいるかもしれない。社会で再び認知され始めた今、もっと理解が広がってほしいです」
「今回の事件で、すぐに記者会見で説明できたのは各地の弁護士が地道に活動してきた底力です。(アダム国である韓国に、エバ国・日本が資金を調達してささげるという)旧統一教会という団体を、国が宗教法人として認めていること自体がおかしい。メスを入れるべき時です」
男性がこう語気を強めるのには、わけがある。東海地方に住んでいた母親が、かつて旧統一教会に入信し、約7年間にわたって活動していたからだ。男性は妻や妹らと協力し、母をマインドコントロールから救出した。その経験を、匿名を条件に語ってくれた。