ドミノ・ピザの「値下げ連発」には
隠された三つの狙いがある

 今、他のどの企業に話を聞いても、今回の値上げラッシュは「もうどうしようもないほど仕入れ価格とコストが上昇しているから、仕方がない」と口をそろえて言います。

 一方で、その環境下であえて“逆張り”に踏み切る少数の会社があります。外食ではサイゼリヤの創業者が値上げ拒否宣言をしていますし、焼肉の和民は大幅な値下げに踏み切りました。そしてドミノ・ピザも、その少数派の一社です。

 冒頭に紹介した以外にドミノ・ピザでは持ち帰り半額キャンペーンを実施していたり、月・火・水であればデリバリーでもMサイズ2枚が1999円(Mサイズの通常価格は1枚1900円~3160円)という大幅な値引きキャンペーンを実施しています。

 なぜ、コスト上昇期にドミノ・ピザはあえて逆張りの実質値下げキャンペーンに踏み切るのでしょうか? 経営戦略理論での定石をベースに彼らの戦略を解説すると、以下の三つの理由が浮かび上がってきます。

(1)大幅な値下げで大きなシェアを買うことができる
(2)新規ユーザー、低利用ユーザーを活性化できる
(3)リベンジで企業能力を向上できる

 それぞれの観点について解説します。