「米中関係の安定」は
過去の遺物と化したのか?
筆者は中国が胡錦涛政権下にあった期間(2003年~2012年)のほとんどを北京で過ごした。北京大学で国際関係を学んでいたが、最近、中国外交や米中関係を研究する教授陣たちが当時語っていた言葉をしばしば思い出す。
「中国にとって、対外開放とは対米開放なのだ」
鄧小平が実権を握った1970年代後半から1980年代初頭以降、対外開放は中国の国策であり続けた。国を外に開き、外国の資本、技術、人材、管理経験などを積極的に取り入れることを通じて経済を発展させる。そのために、欧米や日本をはじめとする先進国との外交関係を安定的に管理し、大々的に推進する。その中心に米国がいるのだ。
「米国との関係が安定、繁栄して、対外開放は初めて成功したと言えるのだ」
教授陣はそう信じて疑わなかった。これらの言葉を思い出すのは、そういう局面がもはや過去の産物と化した、そう感じざるを得ない現実がわれわれの前に襲いかかっているからなのだろうと、自問自答する今日この頃である。