騒がしい隣人が越して来た その名は韓国大統領Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages

【ソウル】韓国の新指導者がソウル中心部のイ・インさん(35)が住む地区に大統領府を移転すると発表したとき、彼は少々興奮を覚えた。フリーランスでマーケティングの仕事をするイさんは、地域開発が進むことで、さびれた龍山区がついに活気づくかもしれないと考えた。

 だが、新しい大統領府から目と鼻の先に住むイさんは、「隣人」になるデメリットを見くびっていた。

「窓を開けることすらできない。デモ隊が外で絶叫している」。イさんはこう話し、今では大統領府が数キロ離れた元の場所に戻ることを願っている。

 5月に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、最初に取った行動の一つは、青い瓦屋根が特徴的な「青瓦台」に長年置かれていた大統領の執務室や住居を移転させることだった。

 3月の大統領選を僅差で制した保守派候補の尹氏は、山のふもとにあり、皇帝の宮殿と自らがなぞらえた青瓦台には足を踏み入れないと公約していた。同氏は青瓦台が庶民からかけ離れたあまりにも遠い存在だと批判した。