写真:「統一教会問題」を巡って取材に応じる自民党の萩生田光一政調会長「統一教会問題」を巡って取材に応じる自民党の萩生田光一政調会長(中央) Photo:JIJI

旧統一教会を巡って、岸田政権と自民党への逆風が続いている。岸田文雄首相と、過去に統一教会と関係があった閣僚や党幹部は、どうすれば有権者から許されるのか。この問題を早期に解決するには、問題を指摘されている人々が何をすべきかを考えてみたい。(経済評論家 楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

内閣改造後も炎上が続く
統一教会問題

 旧・統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題(以下「統一教会問題」)をいなすためだとも言われた8月10日の内閣及び自由民主党の党三役の人事であったが、効果がなかったばかりか裏目に出ている。統一教会と関係のあった閣僚や党三役に関して新しい事実が次々に発覚して、前体制よりも状況はむしろ悪化している。

 逐一名前は挙げないが、一人だけ具体例を挙げると、今回政務調査会長に就任した萩生田光一氏が、今年の参議院選挙に関連して生稲晃子候補を伴って教団の関連団体を訪れていたことが発覚した。加えて、過去には教団本体のイベントであいさつを行ったことなどが明るみに出た。

 前者はなんと今年の国政選挙に関わる生々しい事実だ。それ以外の事実に関してもこれまでに本人が説明せずにいたものが後から露見する展開は、情報の出方としていかにもまずい。

 萩生田氏は、教団との今後の関係に関して、「一線を画する」「適切に対応したい」と述べているが、関係を断ち切るとは明言していない。党の東京都連会長として萩生田氏が応援に注力していた候補である生稲氏を伴っていた。そのことから考えても、自民党の一部(おそらくは少なくない数)の議員にとって、選挙を考えたときの統一教会の重要性が推測できる。

 萩生田氏は統一教会および関連団体について、「現在は問題のない団体なので、今後も付き合っていい」と思っているのか。それとも「問題のある団体なので、今後は一切関わらないことにしよう」と考えているのか。政治家なので、自分の信条に従ってどちらの意見を主張してもいいのだが、「曖昧戦略」で乗り切るつもりなのだろうか。