岸田文雄首相の真意は知る由もないが、今回の内閣改造の目的が「旧統一教会問題隠し」なのだとすると、岸田氏は致命的ミスを犯した。組織のリーダーとしてあり得ない判断だった。旧統一教会問題への対応を含めた、第2次岸田改造内閣の評価と今後の課題を論じたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
旧統一教会問題を隠すための
内閣改造なのか
8月10日に第2次岸田改造内閣が発足した。先の参議院選挙の与党勝利を受けて内閣改造があることは予想されていた。ただ、安倍晋三元首相の銃撃死から時間がたっていないこともあり、新内閣の発足は9月に入ってからではないかという見立てが多かった。大方の予想を裏切る早期の人事だ。
真の理由は本人の胸の内にあるとしても、巷間この改造は、内閣支持率の低下に危機感を持った岸田文雄首相が早期の人事による人心の一新を狙ったものだと解説されている。全てではないとしても、狙いの一部ではあるのだろう。
しかし、安倍氏の衝撃的な死の余波が意外な形で影響している。当初は、その死があまりに理不尽だったことから安倍氏への同情と彼の業績への賛美が世論を覆っていた。ところが、山上徹也容疑者が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する個人的な恨みを動機としていたと報じられたことから、次第に世間の関心が旧統一教会と政治家の関係に移った。
こうした推移は、山上容疑者の意図に沿うもののようであって、やるかたない思いがする。
一方、霊感商法などの社会問題に発展するほどの活動を行ってきた旧統一教会と政治家の間の、選挙・宣伝・資金・スタッフなどを通じた深い関係は、それ自体として重大だ。既存のメディアがこの問題を十分報じてこなかったことにも問題があった。