世界的な興行収入を予想する米ハリウッドの映画会社幹部は、中国の欄に「0ドル」と書き込む。マカオのバカラ(トランプ賭博)のテーブルには人影がない。大物歌手は上海のコンサートホールをツアーから外している。  米国の娯楽・レジャー業界がいま直面している不安な現実とは、中国人の財布を当てにできなくなっていることだ。映画やコンサート、カジノといった事業は、新型コロナウイルスによる閉鎖を経て、世界の多くの地域で再開されている。だが中国の中間層に対するアクセスが引き続き限定的なことで、とりわけ大きな痛手を受けている。