世界的な興行収入を予想する米ハリウッドの映画会社幹部は、中国の欄に「0ドル」と書き込む。マカオのバカラ(トランプ賭博)のテーブルには人影がない。大物歌手は上海のコンサートホールをツアーから外している。米国の娯楽・レジャー業界がいま直面している不安な現実とは、中国人の財布を当てにできなくなっていることだ。映画やコンサート、カジノといった事業は、新型コロナウイルスによる閉鎖を経て、世界の多くの地域で再開されている。だが中国の中間層に対するアクセスが引き続き限定的なことで、とりわけ大きな痛手を受けている。これまで中国を必要不可欠な成長市場と考えていた企業は、100ドル(約1万3700円)のコンサートチケットや12ドルのマチネ(昼興行)入場券、5ドルの賭け金が消えることで、何十億ドルもの収入を失うことになる。
中国で壁にぶつかる米娯楽業界、成長市場が一変
複合的にのしかかるロックダウンや景気減速に政治的緊張
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