岡藤正広Photo:JIJI

不測の事態が起きても
事前準備で損失を軽減

 伊藤忠が掲げる商いの3原則である「か(稼ぐ)・け(削る)・ふ(防ぐ)」で、削るよりも仕事が多岐にわたるのが「防ぐ」ことだ。

 伊藤忠には約270の関連会社があるが、岡藤正広とCFOの鉢村剛はそれらの会社と各社長の名前をすべてそらんじていて、主業務の概要も頭に入っている。

 子会社へは必ず、鉢村の部下が出向しているか、もしくはたびたび出かけていって、黒字になるよう助けている。

 チェックするところは人件費や経費だけではなく、在庫、金利負担もまた確かめる。総合商社であればどこでも一応はやっていることだろうが、伊藤忠は手厚くケアする。そこが強みであり、「防ぐ」機能だ。

 日頃から各社の状況を把握しているから、不測の事態が起こっても素早く対応できる。「防ぐ」とは情報を定期的に収集し、いざという時、素早く対応することだ。