ソ連崩壊後の市場経済への移行に伴う混乱でロシアが苦境に置かれていた1998年、ソ連最後の最高指導者だったミハイル・ゴルバチョフ氏がピザハットのコマーシャルに出演した。そのCMでは、年配のロシア人男性がゴルバチョフ時代の改革によって混乱と政情不安がもたらされたと不満を漏らす。これに対し、相手の若者は改革がロシアに自由と新たな機会をもたらしたと反論。最後に、ピザは人々を一つにするという点では少なくとも全員の意見が一致する――これが宣伝の「オチ」だった。だがゴルバチョフ氏の91歳での死去から一夜明けた8月31日、政治アナリストや野党政治家、同氏の旧友からは、改革の評価を巡るロシア国内の議論では明確な勝者が存在するとの声が聞かれた。プーチン政権は勝利する側を体現しているという。