JR四国Photo:PIXTA

JR四国の西牧世博社長は8月26日の記者会見で、同日に運賃の上限変更認可申請を国土交通省に行ったと発表した。認可が得られれば、2023年春に運賃改定を行う計画だ。この改定には、JR他社が遠からず行うであろう運賃改定に通じる要素が見え隠れしている。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

2031年度の自立を目指し
経営再建中のJR四国

 読者の多くは首都圏、関西圏など大都市圏在住者だろうから、四国の事例を聞いても関心を抱きにくいかもしれない。だがこの改定には、JR他社が遠からず行うであろう運賃改定に通じる要素が見え隠れするので丁寧に見ていきたい。

 ローカル線の経営危機と言えばJR北海道を思い浮かべる人が多いだろうが、実はJR四国も厳しい状況だ。全国に先駆けて人口減少が進むとともに、線路に並行して走る高速道路が建設された影響で、同社の運輸収入は1990年代半ばをピークに減少。そこに追い打ちをかけたのが、2009年から2011年まで行われた緊急経済政策「高速道路休日上限1000円」だった。