新幹線の運賃・料金は他の交通機関に比べて格段に高い。東京から名古屋間が1人片道1万560円(普通車自由席)。博多まで行くとなると2万円以上の運賃・料金を支払わねばならない。飛行機のように新幹線でも価格競争が起こればもっと安くなるのではと考えている人もいるのではないだろうか。そこで、『高校生からわかる社会科学の基礎知識』の著者である酒井峻一氏に、「なぜ新幹線が安くならないのか」をわかりやすく解説してもらった。(清談社 武馬怜子)
新幹線で価格競争が
起きない理由
まず結論として、「当面、新幹線の値段は安くならないだろう」と酒井氏は言う。
「物理的に、国土交通省の認可対象である正規運賃の上限の運賃を安くすることはできます。しかし、正規運賃を安くするには各駅の運賃表や機械の設定を変える必要があるなど面倒です。そのうえ景気が戻った時にまた値上げするのもコストがかかるし、利用客にとって印象が悪いでしょう」
また、酒井氏は2019年10月に一部の商品を除き消費税が10%に引き上げられ、JRの運賃も全体で2%ほど値上げされ、それに伴い新幹線も高くなっていることを挙げる。その際に申請やシステムの変更など、コストをかけて変えたばかりの正規運賃をこのタイミングでまた変えるのは考えづらいというのだ。