岸田内閣が掲げる「資産所得倍増プラン」がしずしずと動き出した。それには個人の金融資産約2000兆円を貯蓄から投資へと誘導することが不可欠で、さっそく金融庁が「少額投資非課税制度(NISA)」拡充へと動きを見せている。「今どき預金なんかしてどうするの、投資しなきゃお金は増えない」との合唱に押されて肩身が狭い銀行預金だが、本当にそうだろうか。使い方によっては、預金も十分家計防衛の役に立つ。投資バンザイの今、あえて銀行預金を使うメリットを考えてみたい。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
今こそ理解すべき銀行預金の良さ
銀行預金は、投資と比べて大きく増えない代わりに、なんといっても元本が保証されているのが最大の強みだ。1円も減らすことなく、確実に目的の金額までためたいという用途には預金が向いている。
例えば住宅ローンの頭金や教育費、起業のための資金など、この時期に使うと決まっているものがそれだ。投資商品だと、いざ資金が必要という時に市場の値動きによって得られる金額が左右されてしまう。大きく下がっていたりすると、期待していた額を確保できないこともあるからだ。
なんといっても万が一の時、すぐ頼りになるのは現金・預貯金だ。銀行預金の金利の低さから敬遠する人も多いが、今はさまざまな銀行がある上に、預け方を工夫することで「金融詐欺」対策にもなる。投資もいいが、今こそ銀行預金の良さを再認識しておくべきだ。