キャッシュレス決済にするほど「お金が貯まらない」ワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

経済産業省によれば2021年のキャッシュレス決済比率は、32.5%まで伸びたという。2019年のキャッシュレス・ポイント還元事業や、コロナ禍の影響もあり、毎年順調に決済率は増えている。さらに、昨今の物価上昇に対し、現金ではなくキャッシュレスで支払うことでポイントを稼いで対抗する手法も注目されている。このように、上手に利用すれば家計の助けになってくれるキャッシュレス決済だが、気をつけないと逆効果になることもあり得る。あれこれ工夫して節約しているのに貯蓄が増えないという人は、キャッシュレス決済の使い方が原因かもしれない。あなたは大丈夫だろうか?(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

アプリに打ち込んだ数字=金額なのに

 キャッシュレス決済のうち、利用率が大きく伸びているのがPayPayなどのQRコード決済だ。高還元率キャンペーンが切れ目なく続くこともあり、デイリーユーザーも多いだろう。

 コード決済の場合、支払う金額がアプリ上に表示されたり、自分で数字を打ち込むこともあるが、スマホ画面上で見ると、レジに表示される数字と比べてこれが金額だと実感しにくいものだ。特に、自分で支払う金額を入力するときはそうだ。認証コードを打ち込むのと動作が変わらないせいもあるかもしれない。

 コード決済に限らず、現金を出すのと比較して支払いの実感が薄くなるのはキャッシュレス決済の特性だ。財布のお金が減らないために、こんなに使ってしまったのかという痛みも感じにくい。特にアプリにオートチャージ設定をしている人は、自分が意識している以上に消費をしていると思った方がいいだろう。

 キャッシュレス決済は便利なのは間違いないが、消費を促進させる仕組みがあり、お金を使うハードルを下げてしまう。今回は、いくつか注意点を紹介しよう。