支持率低下で窮地に追い込まれつつある岸田文雄首相。永田町では早くも「ポスト岸田」を占う動きが強まるが、現状の筆頭候補は茂木敏充自民党幹事長だ。ライバル候補者の現状分析とともに、茂木氏の眼前に「総理への道」が開きつつある理由を解説しよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)
国葬反対に統一教会問題…
岸田首相に吹き荒れる逆風
安倍晋三元首相の国葬に対して高まる「反対」の世論に加え、相次ぐ自民党議員と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係発覚により、岸田文雄首相が逆風に立たされている。主要メディアの世論調査では支持率が急落し、気の早い永田町では「ポスト岸田」を模索する動きも見られるようになった。「信頼と共感」をうたう首相への期待はこのまま萎むことになるのか――。
岸田政権の支持率は軒並み下落している。毎日新聞と社会調査研究センターの調査(8月20、21日)によると、内閣支持率は36%で前回調査(7月)から16ポイント下落し、昨秋の政権発足以降最低となった。不支持率は54%で17ポイントも増加している。
同じ時期の産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の調査では支持率が54.3%だったものの、前回の7月調査時からは8.1ポイント下落。不支持率は9.4ポイント増の40.3%と急上昇している。
下落傾向は9月に入っても顕著で、JNNの世論調査(9月3、4日)では支持率が48.1%と8月から9.4ポイント下落。不支持率は同9.0ポイント増の48.3%で、政権発足後初めて「不支持」が「支持」を上回った。
危機感を強める岸田政権は、新型コロナウイルス対策として従来の「全数把握」見直しをはじめ数々の緩和策を打ち出し、社会経済活動との両立で景気回復を目指している。
しかし、9月8日に自民党が発表した党所属国会議員379人と旧統一教会との関係についてのアンケート結果によれば、何らかの接点があったのは179人に上っていた。今後の関係断絶を強調するものの、多数の議員が選挙などの際に支援を受けていたことには国民から厳しい視線が送られている。
今夏の参議院選挙で勝利し、今後3年間は大型選挙がない「黄金の3年」を獲得したはずの岸田首相だが、先行きは険しいものといえる。全国紙のある政治部記者は「このまま支持率下落に歯止めがかからなければ、来年4月の実施で調整中の統一地方選挙で自民党候補が苦戦する可能性があります。もしそうなれば『もう岸田自民党では戦えない』として、岸田下ろしに発展するかもしれません」と指摘する。
では、岸田氏に代わり得る次期首相候補は誰がいるのか。別のベテラン記者がその筆頭に名を挙げるのは茂木敏充自民党幹事長である。
ライバル候補者の現状を分析すると、茂木氏の眼前に「総理への道」が開きつつある理由がよく分かる。本人の資質やまだ足りていない能力などとともに解説していこう。