写真:自民党安倍派の会合であいさつする塩谷立会長代理と故安倍晋三元首相の遺影自民党・安倍派の会合であいさつする塩谷立会長代理(中央)。左端は故安倍晋三元首相の遺影(7月21日) Photo:JIJI

自民党の最大派閥である「清和政策研究会(安倍派)」が、主を失って右往左往している。集団指導体制への移行が苦肉の策であることは周知の事実だ。トップを決められない、緊急事態に陥った最大派閥を立て直すことができる人物とは誰なのか?その人物の名前と、「将来の首相」も狙えるといえる根拠とは?(イトモス研究所所長 小倉健一)

安倍晋三元首相を失い混沌
最大派閥「清和研」の運命は?

 七奉行、五人組、四天王…。権力争いを常とする自民党の歴史は、すなわち内部抗争の歴史でもある。有力議員が絶対的権力者を支え、手を携えながら権勢を振るうものの、今日の味方は明日の敵につながるのが「永田町の掟」だ。

 史上最長の長期政権を築いた安倍晋三元首相というカリスマを突然失い、自民党最大派閥はその「掟」の浸潤とともに、疑心暗鬼の空気が広がりを見せている。

 安倍氏が率いた「清和政策研究会(安倍派)」は、トップの死去を受けて有力者による集団指導体制で運営する方針となった。

「『当面』というより『当分』集団指導制をとらざるを得ない。誰一人、現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もない」

 安倍氏や麻生太郎・自民党副総裁とともに「3A」と呼ばれ、長期政権の屋台骨を支えた甘利明・元自民党幹事長。その甘利氏は7月20日、最大派閥である清和研の現状について、メールマガジンでこのように評した。

 最大派閥を揺るがす緊急事態。清和研の有力議員5人でも「ポスト安倍」は務まらずに集団指導体制とせざるを得ない中、この状況を立て直せるのは誰なのか。そこでダークホースとして注目を集める人物の名前と、その根拠をご紹介しよう。