デザイナー経験者を経営層に迎えたり、デザイン部門を強化したり……。企業経営にデザインを取り入れる動きが活性化しています。しかし、デザイン人材の確保だけが「デザイン経営」への道ではありません。もっと重要なのは、経営者自身が「デザインするリーダー」へ進化することではないでしょうか。今回は、優れたイノベーターであり、デザイナーでもある女性著者2人による、経営者が変わるためのメソッドを詰め込んだ一冊を紹介します。
経営リーダーに求められるデザインの力
先が見えない時代といわれます。経営においても、未知の問題に対応しなくてはいけない場面が増えるのは当然のこと。今、経営にデザインを取り入れようという動きが広がっていることも、「問題を解決する」というデザインの役割を考えれば、自然なものに思えます。
こうした変化の中で、デザインを司る部門を立ち上げる会社も増えています。経営責任を持つデザイン担当者としてCDO(Chief Design Officer=最高デザイン責任者)を立てた、という話を耳にする機会も増えました。
でも、CDOにはどんな人物がふさわしくて、実際にどんなことをやっているのか、というと、ちょっとピンときません。そんな疑問に答えてくれる本はないかな?と探していて、出合ったのがこの本です。
出版されたのは2014年。ちょっと古い本です。しかし、書かれているメッセージは、私が考えていたよりずっととがったものでした。「デザインの責任者を立てる」のではなく、「経営リーダーが自らデザイナーになろう」と呼び掛けているのです。