
古幡瑞穂
デザイナー経験者を経営層に迎えたり、デザイン部門を強化したり……。企業経営にデザインを取り入れる動きが活性化しています。しかし、デザイン人材の確保だけが「デザイン経営」への道ではありません。もっと重要なのは、経営者自身が「デザインするリーダー」へ進化することではないでしょうか。今回は、優れたイノベーターであり、デザイナーでもある女性著者2人による、経営者が変わるためのメソッドを詰め込んだ一冊を紹介します。

企業経営において「デザイン戦略」が重要な意味を持つのは、デザインに人の心を動かす力があるからにほかなりません。しかし、その力がネガティブに活用されたとしたら? 特に、デザインの「負の力」が現れやすいのは、「戦争」という極限状態です。それは、現在進行中の戦争も例外ではありません。今回は、ビジネスにデザインを生かしたいと考える人こそ知っておきたい、デザインの「負の力」に迫る一冊を取り上げます。

デザインは、見た目やカタチを整えること──。そんな「狭義のデザイン」を軽々と飛び越えて、ビジネスモデルをデザインしたり、コミュニティーをデザインしたり……。地域に潜むリソースをフル活用しながら「地域のデザイン」に取り組むデザイナーたちがいます。今回は、地方で活躍するデザイナーたちのオリジナルな活動事例が集められた本を通じて、「デザイン思考」の実践とは何かを考えます。

紙パックのない掃除機や、羽根のない扇風機など、誰もが「こんなの見たことない!」と驚く革新的な商品を世に送り出してきたダイソン。「当たり前」と見逃してしまいがちな不便や不満を掘り起こし、創意工夫と技術力で課題を解決してしまう──。この卓越した創造力はどのように生まれたのでしょうか。今回は、デザイン経営のお手本として知られるダイソンの創業者であり、エンジニアでもあるジェームズ・ダイソンの言葉に耳を傾けます。

ビジネスに「デザイン」の視点を生かしたいとき、ビジネスパーソンは「デザインの技術」についてどこまで知っておくべきでしょうか? デザイナーではない人(ノンデザイナー)がゼロからデザインを学びたいとき、何から始めればいいのでしょうか? 連載第3回で取り上げるのは、そんな疑問に答えてくれる入門書です。デザインの基本的なルールが分かりやすく解説されているだけでなく、「デザインセンスは後天的に身に付けられる!」と、ビジネスパーソンに自信を与えてくれる一冊です。

製品やサービスの質だけでなく、その購入検討から使用、廃棄に至るまでの一貫したプロセスで顧客の満足度を高めることの重要性が認識されつつある中、デザイナー以外の職種のビジネスパーソンも、デザインに向き合う機会が増えています。「自分にはセンスがないから」などと言い訳せず、ポジティブにデザインと向き合うにはどうすればいいのでしょうか。連載第2回では、「批評」をキーワードに、さまざまな立場の人が力を合わせてデザインを良くするためのコミュニケーションの方法を学びます。

書店のビジネス書の棚で「デザイン」や「アート」という言葉を当たり前に見掛けるようになりました。これらの書籍でデザインはどう語られているのでしょう。書籍流通の現場に長く身を置き、あらゆるジャンルの書籍の観察と多様なデータ分析を通じて本をマーケティングしてきた著者が、デザインにまつわる書籍に改めて向き合い、デザインとビジネスの関係をひもときます。連載の第1回では今に広がる「デザイン思考」を初めて書名に冠した書籍を取り上げます。
