アメリカ・ニューヨークの国連本部でスピーチをした韓国のBTS(防弾少年団)アメリカ・ニューヨークの国連本部でスピーチをした韓国のBTS(防弾少年団) Photo:EPA=JIJI

韓国だけでなく、今やアメリカを中心に世界中で大人気のBTS。韓国人男性7人からなるグループであるために、メンバーの兵役問題をめぐって韓国世論が騒がしい。彼らの兵役問題については文在寅(ムン・ジェイン)前政権下から議論が行われてきたが、結論が出ないまま尹錫悦(ユン・ソンニョル)現政権に宿題として渡された形となっている。しかし、メンバーの一人であるJINが12月に30歳の誕生日を迎え、これが兵役を延長できる期間のリミットとなる。韓国の男性芸能人にとって、兵役にどう対応するかは、その後の活躍を大きく左右する。過去の事例を振り返ると、BTSにとって兵役問題への対応がどれほど重要な話題かがよく分かる。(韓国在住ライター 田中美蘭)

韓国人男性全員が対象、多くは20代前半で兵役に就く

 韓国人男性にとって、兵役は非常に大きな問題である。特に芸能人やスポーツ選手にとって、自身のキャリアを中断させて兵役に行くことは、その後の人生を左右する重大問題といっても過言ではない。

 韓国の徴兵制では、全ての男性に兵役が義務付けられている。期間は所属先によって多少異なるが、一般的に陸軍、海兵隊共に18カ月となっている。現在の50代以上の男性は約36カ月、数年前までは24カ月だったのに比べると、短縮されていることが分かる。

 過体重や低身長、低視力といった健康上の問題が認められれば免除となる。以前は、母子家庭や一人息子などの家庭の事情がある場合や、学歴が中卒の場合も免除となっていたが、最近は韓国も少子化が進んでいるので、こうしたケースでも兵役対象と見なされるようになった。

 兵役は通常、満19歳~28歳の間に行う。多くは19歳頃に申請して適性検査を受け、20歳前後で実際に兵役に就くことになる。ただ、芸能人やスポーツ選手のように特別な分野で活躍している場合、延期申請が認められれば30歳での入営もあるということだ。

 また、兵役中には軍から給与が支給される。配属先や階級によって異なるものの、好待遇とは言い難く、月額わずか15万ウォン(日本円で1万5000円)程度。国を守るために兵役義務に就いている若者に対して「あんまりの待遇だ」と批判の声も多い。