写真:NISAのイメージ写真Photo:PIXTA

岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の政策の一つとして、NISA(少額投資非課税制度)が大きな進化を遂げそうだ。税制改正要望に対する結論を待つ必要があるものの、今回はその進化を先取って「新しい資本主義のNISA」の賢い使い方を考えたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

金融庁の税制改正要望で
新しいNISAの「方向性」が出た

 岸田文雄首相の看板政策である「新しい資本主義」のメニューの一つとして、いささか唐突にではあるが「資産所得倍増計画」が登場した。その中で注目されていた「NISA(少額投資非課税制度)の抜本的改革」の「方向性」が先般、お目見えした。金融庁から「令和5年度税制改正要望」の形で発表された。

 最終的には、税制としての検討過程を経て制度が決定するので、あくまでも金融庁が目指す方向性が出たにすぎない。これで決まりというわけではなく、税の世界」には「金融の世界」とはまた違った常識とテンポ感があるので油断はできない。しかし、大まかな今後のNISAの方向性は見えてきたと考えていいのではないか。

 これまでは、既存の制度の延長線上で運用益非課税の利用枠が拡大すると専らうわさされてきた。ところが、今回の金融庁案はNISAの枠組みを大きく変えようとする意欲的なものだ。

 いくらか先走った議論になるが、本稿では、この「新しい資本主義のNISA」(以下「新しいNISA」)の合理的で賢い使い方を考えてみたい。