「手放し、効率化し、超集中」するための全技法とは!?
レコード会社時代はヒットメーカーとして、ミリオンヒットを10回記録するなどトレンドの最先端を疾走。音楽プロデューサーとして絶好調の39歳の時に退社して、ニュージーランドに移住。現地の湖畔で、環境負荷を最小限に抑える自給自足ライフを営む四角大輔氏。
彼のベストセラー『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』は、次世代のミニマリストのバイブルにもなった。
この連載では、四角氏のあたらしい著書『超ミニマル主義』の中から、「サイフ」「カバン」「書類」「名刺」「ウェア」「シューズ」「仕事机」「デバイス」「部屋」「情報」「データ」「スケジュール」「タスク」「労働時間」「ストレス」「人付き合い」などを、極限まで「最小・最軽量化」する方法を紹介していきます。

【働き方ミニマリストが教える】「心を軽くする」モノ選び8つのルールPhoto: Adobe Stock

装備選別ルール8つのルール

 装備を軽量化してもらう前に、装備選別ルールを伝えたい。

 筆者は、「①軽さ」「②コンパクトさ」に加え、複数の使い方ができる「③マルチ機能」、小さく収納できる「④パッカブル」、そして「⑤耐久性」と、洗濯機で洗えたり(ウォッシャブル)、手入れが楽な「⑥イージーケア」も重要視する。

 そして実は、最も大切にしているのが気持ちを高めてくれる次の2つの観点―「⑦お気に入りのデザイン」「⑧エシカル・サステナブル」だ。

「体を軽くすること」以上に、「心を軽くすること」が大切

 欧米では、商品説明に「Fun & Function=楽しくて機能的!」という言葉が使われるが、人が商品を買う時、性能面以上に気分(感情)で決めていることが、消費行動の研究でわかっている(※1)。

 そして、この「8つのルール」では、「体を軽くすること」以上に、「心を軽くすること」に主眼を置いている。

 この「心を軽くするお気に入りのパワー」をバカにしてはいけない。時に、栄養価の高い食事以上のエネルギーとなり、どんなアートよりもあなたをクリエイティブにする。

 なお、⑧には「環境負荷と、弱者や動物からの搾取」を減らすことで、「認知的不協和(※2)。=心の葛藤(ストレス)」を減らす狙いがある。

モノやツールへの出費は、自分の未来への「投資」と考え、
ケチらない

 もう1つのポイントは、モノやツールへの出費は、自分の未来への「投資」と考え、ケチらないこと。

 ①~⑥のうち2つと、⑦⑧をクリアしているなら少々高価でも手に入れよう。「これを使えば楽になり、気分も上がる」と確信できた時、それは間違いなくいい投資になる。

 わずかでも手間を減らせて時短につながり、心が軽くなってモチベーションが上がり、生産性が高まれば――元を取れるどころか――大きなリターンを得られるわけだから。

「浪費はゼロ、消費は最小限、投資は最大限」

 筆者が、モノやサービスを選ぶ際の基準はシンプル。

 その価格以下のものは「浪費」、値段相応であれば「消費」、そしてそれ以上の価値となる場合は「投資」と考え、「浪費はゼロ、消費は最小限、投資は最大限」をマイルールに生きてきた。

 寿命ある人間にとって「時間=命」であり、その命を費やして得た「お金もまた命」だからだ。誰も、命の無駄遣いなんてしたくないだろう。

 そして、「行き過ぎた浪費と消費」は、地球や他者の命を傷つける行為であると知っておいてほしい。

※1 WIRED「30秒で読む意思決定の脳科学」(2014)
※2 Leon Festinger『A Theory of Cognitive Dissonance』Stanford University Press(1957)―認知的不協和とは、心理と行為に矛盾があることで生じる強いストレスのこと

『超ミニマル主義』では、「手放し、効率化し、超集中」するための全技法を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

(本原稿は、四角大輔著『超ミニマル主義』から一部抜粋したものです)

【働き方ミニマリストが教える】「心を軽くする」モノ選び8つのルール四角大輔(よすみ・だいすけ)
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学英語科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、ひどい赤面症のままソニーミュージック入社。社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法でミリオンヒット10回を記録。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住し、湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営む。年の数ヵ月を移動生活に費やし、65ヵ国を訪れる。19年、約10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆、環境活動に専念する。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル仕事術をさらに極め――週3日・午前中だけ働く――育児のための超時短ワークスタイルを実践。著書に、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)、『バックパッキング登山入門』(エイ出版社)など。