「手放し、効率化し、超集中」するための全技法とは!?
レコード会社時代はヒットメーカーとして、ミリオンヒットを10回記録するなどトレンドの最先端を疾走。音楽プロデューサーとして絶好調の39歳の時に退社して、ニュージーランドに移住。現地の湖畔で、環境負荷を最小限に抑える自給自足ライフを営みながら、世界を旅しながら働く移動生活を送り、グローバルノマドの第一人者と称される四角大輔氏。
彼のベストセラー『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』は、次世代のミニマリストのバイブルにもなった。
この連載では、四角氏のあたらしい著書『超ミニマル主義』の中から、「サイフ」「カバン」「書類」「名刺」「ウェア」「シューズ」「仕事机」「デバイス」「部屋」といった物質、「情報」「データ」「スケジュール」「タスク」「労働時間」「ストレス」「人付き合い」といった非物質を、極限まで「最小・最軽量化」する方法を紹介していきます。自分の可能性を「最大限=マックス」に引き出す方法と、持続的な成果を出し続けてサステナブルに働くための技術も公開いたします。
「漠然とした不安」とは何か
今あなたは両肩に「見えない荷物」をたくさん抱えている。なぜそんな多くの荷物を背負い込むのか、ぼくには痛いほどわかる。
「漠然とした不安」
人は、不安だから、あらゆることに手を出し、NOと言えなくなり、情報収集と人脈獲得に奔走する。結果、自ら抱え込んだその荷物に押しつぶされてしまう。
さらに、テクノロジーの暴走、暴発する情報、途切れないスマホの通知、全く減らないタスクが追い打ちをかける。
新しい働き方の先駆者として、
メディアに取り上げられたりしていたが
まさに―自らフリーランスとなり、ニュージーランドに移住した直後の―40歳だった時の筆者がそうだった。
実験的に始めたワークスタイルが型破りすぎて誰にも理解されない。日本にいないから、まともな営業活動もできない。会社員時代のような安定収入はなく、半年先さえ読めない。
新しい働き方の先駆者として、メディアに取り上げられたりしたが、「ダメなら自給自足で生きていこう」と覚悟していた
人は、不安解消のために不要なモノを買い、
空腹でもないのに食べ続け、
余計な仕事を請け負い、睡眠を削って働き続ける
そして今は戦後最悪の混乱状況にある。コロナ禍で悪化する経済後退と社会不安、気候変動による大災害、紛争や分断で不穏な国際秩序、AIの本格的な台頭があなたの不安を煽る。
さらに、年々重くなる責任、複雑になる人間関係、隙間のない予定帳、期待に応えようとする義務感、高まるプライド……。
すると人は、不安解消のために不要なモノを買い、空腹でもないのに食べ続け、余計な仕事を請け負い、睡眠を削って働き続ける。
不健康で心は病み、生産性は下がる。まさに悪循環だ。
「何をするか」ではなく、「何をしないか」を決める勇気
断言しよう。
正解も連続性もない、不安定な時代だからこそ必要なのは「何をするか」ではなく、「何をしないか」を決める勇気。
習得するべきは「何かを得る」スキルではなく、足るを知る極意と「何かを削ぎ落とす」ミニマル術だ。実際にコロナ禍では、身の丈を超えて手を広げすぎた企業や人ほど、大ダメージを受けた。
楽でシンプルな働き方を手にするための教科書
安定せず急変し続ける社会に対応できる身軽さ、経済の混乱に振り回されない身のこなしこそが、現代における強みとなる。
それは、不安定な山道を歩く時と同じ理論。
小さなバックパックなら、落石をとっさにかわせ、滑落のリスクは低く、長距離ルートの踏破率は高まる。もし、キャパオーバーの巨大な荷物を背負っていたら――考えたくもないだろう。
本連載は、余計なコト・モノを手放して、身のまわりをミニマル化し、楽でシンプルな働き方を手にするための教科書である。
『超ミニマル主義』では、「手放し、効率化し、超集中」するための全技法を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、四角大輔著『超ミニマル主義』から一部抜粋したものです)
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学英語科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、ひどい赤面症のままソニーミュージック入社。社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法でミリオンヒット10回を記録。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住し、湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営む。年の数ヵ月を移動生活に費やし、65ヵ国を訪れる。19年、約10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆、環境活動に専念する。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル仕事術をさらに極め――週3日・午前中だけ働く――育児のための超時短ワークスタイルを実践。著書に、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)、『バックパッキング登山入門』(エイ出版社)など。