増える新型コロナ患者や家族への
嫌がらせ、医療従事者への誹謗中傷
ちょっと前、パンデミックのパニックを描いた映画『コンテイジョン』の「恐怖はウイルスよりも早く感染する」というキャッチコピーに共感の声が集まったが、最近の日本はどちらかといえば、「狂気はウイルスよりも早く感染する」という表現の方がしっくりくる。
どう考えても正気を失っているとしか思えないような、新型コロナ患者やその家族への嫌がらせ、医療従事者への誹謗中傷が増えているという報道が相次いでいる。
たとえば、感染者のいる家族や病院に「感染が広がったらお前らのせいだ」などという嫌がらせの電話を入れる。あるいは、医療現場で必死に戦っている医療従事者の子どもを「ばい菌」扱いしたり、保育の受け入れを拒否する。さらには、仕事でやってきている他県ナンバーの車に、「おらが県にコロナを持ち込むな!」と石を投げるという“自粛ポリス”も問題になっている。
なぜ、こんな常軌を逸した振る舞いが広がってしまっているのか。立派な学者センセイや評論家の皆さんは、ざっとこんな感じで分析をしている。
・新型コロナに対する正しい知識を持っていない人が多い
・なかなか感染が収束しないことを「誰かのせい」にしたい
・コロナ禍で、戦時中から引きずる日本人の排他的な国民性が浮き彫りになっている
なるほど、と納得させられるものもあるかもしれないが、個人的にはかなりモヤモヤが残っている。「病で苦しむ人」への迫害、差別、偏見というのは、なにもコロナに限った話ではなく、これまでも幾度となく繰り返されてきた「日本人あるある」ともいうべきテッパンのリアクションだからだ。
原爆症、結核、エイズなどなど例を挙げればキリがないが、今回のコロナと非常によく似通っているのが「ハンセン病」である。