「アメーバ経営」から「ティール組織」そして「DAO」へ、成功する組織の共通点は“自己組織化”Web3時代の分散型自立組織「DAO」は、日本にも根付くのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

Web3時代の新しい組織形態として注目される「DAO(ダオ)」は、日本にも根付くのか。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、これまでに成功を収めてきた組織のスタイルを振り返り、DAOなど今後の組織のあり方について論じる。

全員参加経営を掲げた
稲盛氏の「アメーバ経営」

 役職や階層がない、Web3時代の新しい組織形態として注目される「DAO(ダオ/Decentralized Autonomous Organization)」。日本ではなかなか根付きにくいのではないかとも言われていますが、今回はこのDAOに関連して、これまでに成功を収めてきた組織、そしてこれからの組織のあり方について考察していきます。

 最初に見ていきたいのが「アメーバ経営」における組織の特徴です。

 8月24日に亡くなった京セラ創業者の稲盛和夫さんは、京セラや第二電電(現在のKDDI)の経営にあたって、アメーバ経営と呼ぶ手法を活用していました。書籍になったこともあり、今でもさまざまな企業で経営を成功に導くための管理会計の手法として参考にされています。

 アメーバ経営では、大きな組織を独立採算で運営する小さな集団(アメーバ)に分けます。目指すのは「売上を最大に、経費を最少に」というごく当たり前の事柄ですが、これを「全員参加経営の実現」「経営者意識を持つ人材の育成」「マーケットに直結した部門別採算制度の確立」の3本柱で実現しようというものです。

 アメーバ経営では、会社全体の経営を見る最上位のアメーバ組織である会議体から、数珠つなぎに階層を下って下位の会議体に情報を伝達していきます。その連結部分をうまく作り上げることにより、下位のアメーバ組織にも会社の方針が伝達されるようになっています。そして下位のアメーバ組織でも自分たちで年次の経営計画であるマスタープランを設計し、月次予定へ落とし込みます。