プロダクトマネジメント
DXを成功させるにはプロダクトマネジメントの考え方が欠かせません Photo:PIXTA

「日本にプロダクトマネジメントの考え方が普及すれば、世の中はもっと良くなる」――。マイクロソフトやグーグルで、プロダクトマネジメントに携わってきた及川卓也氏は、自身の経験も踏まえて、こう語る。また、近年多くの企業が取り組むDX推進にもプロダクトマネジメントの考え方が欠かせないというが、プロダクトを成功させるためのプロダクトマネジャーの役割、チームのあり方はどのようなものなのか。及川氏が解説する。

DXを進める日本企業は
プロダクトマネジャーを置くべき

 現在、時価総額ランキング上位を占める企業のほとんどが、ITプラットフォーマーか、もしくは事業にITやソフトウェアを活用してDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている企業です。私は常々ITを活用して製品・サービス(プロダクト)を提供する企業には、「プロダクトマネジメント」が必要だと説いてきました。

 米国の投資家、マーク・アンドリーセンは、2011年に著したコラム『Why Software Is Eating the World(なぜソフトウェアは世界を食べているのか)』の中で、「すべての業界の企業にソフトウェア革命が起こる」と記しています。

 ソフトウェアを通じた産業の変革、いわゆるDXを実践できる企業は、言い換えると「プロダクト力が強い」企業でもあります。その陰にはプロダクトマネジャーが、もしくは役職名は違っても、プロダクトマネジャー相当の役割を果たしている人が必ず存在しています。

 企業においてプロダクトマネジメントが成立するには、専門職としてのプロダクトマネジャーの役割が確立されていて、職種として認知されていることが大切です。

 以前私がいたマイクロソフトやグーグルでは、優れたエンジニアやデザイナーが作るものを事業として回していく役割、つまりプロダクトマネジャーにも優れた人が数多くいました。優秀なソフトウェアエンジニアや情報工学などを学ぶ学生は、幸いなことに日本でも以前より増えています。しかし、プロダクトマネジメントの考え方やプロダクトマネジャーの役割を果たす人が欠けていると私は感じています。

 これから必要なのは、テクノロジーを使って作ったものをプロダクトとしてまとめ上げる人材と手法、考え方、能力です。これがすなわちプロダクトマネジャーであり、プロダクトマネジメントなのです。

 後述しますが、プロダクトの展開に失敗する企業では、プロダクトマネジャーがいない、または機能していないケースが多いのではないかとも推測しています。